ヴァイオリン弦の選び方|音色の違いがわかる弦のチャートつき

前回、Kaplan Solution E弦について少し書きましたが、みなさんはどのようにヴァイオリン弦を選ばれているのでしょうか?

ヴァイオリン弦には数多くの種類があり、「どれを選べばよいのかわからない」と悩むことも多いですね。

今日は、もし、口コミなどを使わない場合、私がゼロからヴァイオリン弦を選ぶときには、弦のキャラクターチャートを参考にしています。

この記事ではヴァイオリン弦選びのポイントと、チャートの読み方をご紹介します。

ヴァイオリン弦を選び方|まず知っておきたい4つのこと

1.個々のヴァイオリンとの相性

いまや、本当に数多くのヴァイオリン弦が出回っていますし、個々のヴァイオリンや弓との相性がありますので、ヴァイオリン弦選びはちょっと面倒です。

先生や憧れのヴァイオリニストと同じ弦を使用しても、同じような音がでるわけでもありません。

私自身、周囲から聞こえてくる口コミで、新しい弦を試してみることも多いのですが、自分の楽器に張ってみると、う~ん???イマイチかも…と感じることも多々あります。

例えば、私の楽器にエヴァ・ピラッツィを張ると、私自身は 音が大きすぎる、輝かしすぎる、うるさい というマイナス面を強く感じてしまいます。

とても人気のある弦だと思いますが、私の楽器との相性はよくない ということになります。

ご自身のヴァイオリンや弓との相性と、そのうえで、もう少し輝かしい音を、もう少しやわらかな音を、などの希望をかけあわせて考えることが必要かと思います。

2.自分が求める音色

楽器そのものの能力がありますが、それを考慮したうえで、ご自身がどのような音色が欲しいのか ということです。

例えば、

  • 明るく華やかにしたい
  • 柔らかく温かくしたい
  • 音量を出したい
  • 落ち着いた音にしたい

など。

私はアメリカのオーケストラで弾いていたときには、反応がよい弦、そして、Focused sound(しっかりと焦点のあたった音)が欲しかった。演奏中の反応が速く、自分で自分の音もしっかり聞こえ、音程も周囲にあわせて微妙に調整できる ということを考えてのことでした。

ただ、同じオーケストラの別の奏者は、Focused soundが過ぎるのも、音程などの面で少しコワいので、少し抵抗がある と言っていました。

また、ある時は、ピアニストとのデュオのリサイタルのときに、オブリガードを使ってみたのですが、ピアノの音に比べると、音の輪郭がぼやけてしまうような気がして、少し後悔しました。(もちろん、今、その演奏を自分が聞いたらまた別の意見をもつかもしれません)

そして、同様に、ピアニストとのデュオのリサイタルを重ねるうちに、もう少し複雑な響きが欲しい と考えるようになり、ペーター・インフェルドに移行していった という経緯があります。

3.演奏レベル・用途

ご自身の演奏のレベルや目的も弦を選ぶ基準となりますね。

たとえば、ヴァイオリンをこれからはじめよう という方にはやはりとても標準的なドミナントをおすすめします。いきなり、ピーター・インフェルドやオブリガードなどは勧めません。

また、オーケストラのTuttiとして演奏するのか、室内楽を演奏するのか、オーケストラと一緒にヴァイオリン協奏曲を演奏するのか などによっても弦の選び方は変わってきてよいと思います。

4.弾き心地、弦の反応

同じ音色でも、

  • 弓に吸い付く感じ
  • 軽く発音する感じ
  • 抵抗感がある感じ

が違います。

例えば、先ほど、オーケストラで演奏していたときに 反応のよい弦 が欲しかった。と書きましたが、自分の動きにすぐに弦が反応してくれるのは、私としては非常に弾きやすい。とくにオーケストラ曲のなかには、非常に速く細かい音を弾かなければならないこともあり、そのようなときにも反応が速い弦は助かります。

弦によって張力も違いますので、ご自身が 弾きやすい と感じるものを選ぶのはとても大切だと思います。

生徒さんが、この弦は弾きやすいです とおっしゃるときには、実は、音色よりもこちらを指していることもあるでしょう。

5.値段

ヴァイオリン弦の値段もかなり上昇していますね。

私自身も、値段上昇のせいで、気軽に弦交換がしにくくなってきています。

ご自身にとってあまり経済的に負担になりすぎない程度の弦をみつけるのも大切です。

古い弦を長く使っても、お手元の楽器の良い音をひきだすことができませんので、気に入った弦をその都度購入し続けられるかどうかも大切です。(2026年5月追記)

ヴァイオリン弦を交換しないとどうなるか?

私自身は 本番だからといって、なにか特別なことをするよりも、普段の自分がだせるのが一番かと思いますし、弦の反応に対して演奏者がどれくらい上手に対応できるのか、ということも考慮にいれるべきだとは思いますが、例えば、本番用はこれ!という選択肢をもっておく というのもありかと思います。

例えばですが、普段は ドミナント でいいけれど、発表会でソロを弾くので、ヴィジョンソロ にしてみよう!という対応の仕方もあるでしょう。

私が参考にするヴァイオリン弦チャート

ヴァイオリン弦を選ぶときに参考になるヴァイオリン弦 チャートがありますので、新しい弦を試してみたいときには、チャートの情報を指針にしてみると、はじめの一歩が踏み出しやすくなります。

もしも、今使っている弦が気に入っているけれど、どの弦なのかがわからない というような場合には、ぜひこちらのチャートを参考に、ご使用弦を特定してみてください:

ヴァイオリン弦特定表 / Violin Strings ID chart

いまや、このようなチャートもたくさん出回っているので、あくまでも、「参考にする」程度のことになってしまいますが、指針になります。

こちらは、私がヴァイオリンアクセサリや楽譜を購入する際に利用する http://sharmusic.com に掲げられているものです。Thank you, Shar!!

string sound chart

その後、新しい弦もでており、最近チェックすると、チャートも新しくなっていましたので、追記しています。(2022年11月11日)

以下は2026年のものです。内容は変わっていないと思います。

ヴァイオリン弦チャートの読み方

2026年のものには私なりの日本語訳をつけてみました。

縦軸(DIRECT ↔ Subtle)に関していえば、

・上にいくほど、音の輪郭が明確で存在感がある

・下に行くほど、繊細でまろやかな表現がしやすい 

横軸(Warm ↔ Brilliant)では、音色の傾向を示していて、

・左にいくほど、Warm: 温かく柔らかい音、音が丸く落ち着いた印象

・右に行くほど Brilliant: 明るく輝きのある音、音の輪郭がはっきりして遠くまで響く

となるかと思います。

例えば

Brilliant + Direct  ですと エヴァ・ピラッツィのような華やかで前にでるタイプで、音量も大きい。

Warm + Subtle ですと オブリガートのような柔らかく、溶け込むタイプ

音色を言葉にするのも難しいことのひとつですね。(笑)(2026年6月追記)

これをはじめてみたのはもう本当にずい分前のことですが、その当時は本当にありがたく、よく参考にさせていただきました。その後、前出ですが、やはりヴァイオリンとの相性、弓との相性の比重が大きいように感じるようになり、また、好みや、そのときのコンディションや心身の状態などでも印象は変わってくるので、「絶対」というものはないと思いますが、はじめての弦を試してみたいときにはひとつの参考になりますね。

私が過去に愛用した弦

ちなみに、私が過去に長い間、使用していた弦は ドミナント と ワンダートーンソロ でした。そして、今は ペーター・インフェルドとカプランソルーションE弦を使っています。

ヴァイオリン弦:ドミナント

ドミナントはくせのない非常に標準的なとてもよい弦です。

とてもすばらしい楽器をお持ちの方は、弦はシンプルに ドミナント にされる方も多いのではないかと思います。

世界的ソリストのなかにも ドミナント を使ってらっしゃる方も。

初心者から世界的ソリストまでが愛用する弦なのです。

温度や湿度に対する変化も少なく、とても安定している印象で、音色も温かみがある。響きもシンプルですが、豊か。

初心者の方、分数ヴァイオリンの方(お子様)は、まず、ドミナントをおすすめします。

こちらの記事でもふれています:おすすめのヴァイオリン弦は?

ヴァイオリン弦:ワンダートーンソロ

ドミナントに少し飽きてきて、もう少しアップグレードしたい という気持ちで使いはじめたのがこちらでした。バラのパッケージも女性のこころをくすぐる。(笑)

ドミナントと同じように個性が強すぎない、主張しすぎない。

反応も速く、ドミナントよりも、響きが豊か という印象でした。

ヴァイオリン弦:ペーターインフェルド

そして、今は ペーターインフェルド を愛用しています。この弦については以下のリンクをどうぞ:

ペーター インフェルド 【ヴァイオリン弦】

ダダリオ カプラン ソリューション E弦 Non Whistling E string 【ヴァイオリン弦】

リサイタル活動もお休みしていますし、今後はまた別の弦を使ってみてもいいかと考えています。

よい弦とは?

結局のところ、良い弦とは人気の弦でも高価な弦でもなく、自分の楽器と自分の演奏に合った弦だと思います。チャートはその第一歩として役立ちますが、最後は実際に試してみるしかありません。

また、私にとっては 安定していて、長持ちする ということも一つ大切なポイントです。日本は気候の変動が多く、弦も傷みやすいような印象です。

弦選びもまた、ヴァイオリンの楽しみのひとつです。先生やご友人と聞き比べなどをするととてもいい選択ができると思います。

よろしければこちらもどうぞ: 

エヴァ ピラッツィ ゴールド 【ヴァイオリン弦】

共感していただける方、そんなことないよ!と思われるかた、どうぞコメントを残してくださいね。ぜひ情報交換しましょう!

他にもこのような記事もあります:

これは何?-ヴァイオリンE弦のプラスティックチューブ-

テールピース近くの弦の巻きなどから弦を特定するには:

ヴァイオリン弦特定表 / Violin Strings ID chart

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