ウォールファールト21番の練習のポイント2つ

21番はト長調。移弦を伴うスタカートの練習ですね。

1. 弓の使い方

21番では弓を弦上に置いたまま、水平にとても速く動かすことでスタカートを演奏します。弓の使用部分は上半弓です。

2.移弦

移弦を素早く行い「準備ができてから」弾き始めるようにします。

「準備ができてから」

その昔、ピンカス・ズカーマン先生のマスタークラスを聴きに行ったことがあります。そのときに先生がおっしゃっていたのは「Prepare!!!」(準備して!!!)ということです。スタカートだけではなく、ヴァイオリン演奏のすべてに関して、まずは準備をしてから。準備ができてからでないと良い音はでない。と何度も口をすっぱくしておっしゃっていました。マスタークラスでの演奏者は、イザイや大きなコンチェルトを演奏するもちろん上級者の方々でしたが、先生はこの言葉を何度も何度も、何度も!繰り返しておられました。私自身も自分の練習・演奏に活かし、とても強く共感できるとても大切な基本情報と感じ、生徒のみなさんに伝えています。

スタカートを上手に弾くための2つの大切なこと

1.弦をしっかりcatchしてから

今回は、移弦もあるため、ひとつの音を弾き、素早く移弦。

きちんと右ひじの高さを変えて、移弦。しっかりと弦をcatchしてから(つかんでから=食いついてから)次のスタカートを弾く というプロセスを通ります。練習を繰り返すとこれらすべてのことを素早くできるようになり、よいスタカートのキャラクターを表現できるようになります。

素早く移弦をしてから次の音を弾く。これができない生徒さんもいますね。次の弦への移動が「きちんとできていないうちに」次の音を弾き始めてしまうのです。移弦や次の音への準備が遅いと、しっかりと弦をつかむ(弦に食いつく)ことができずに、スタカートの音の出だしがあいまいになってしまいます。このような生徒さんたちは、がまん が必要です。

2. 弓のスピード

また、弓のスピードそのものが遅くても、クリアなスタカートは演奏できません。

弓のスピードを出すためには、脱力がとても大切です。ダウンボウのスタカートでは、腕を下に落っことすようなイメージ、アップボウでは弓をある一定の方向(自分にとって左側)に投げるかのようなイメージで演奏します。文字だととてもわかりにくいと思いますが、レッスン中には私がガイドしてあげることで、みんな上手に弾けるようになっていきます。

脱力が難しい場合には、できるだけを練習して、次に同じようなストロークが出てきたときに再度挑戦する というサイクルを繰り返します。

音源のご紹介:一緒に練習しましょう!


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3 thoughts on “ウォールファールト 60の練習曲 21番 アレグロ

  1. たしかによくわかる説明です。ありがとうございます。かなりの上級者でも、弾けているのに音がだらしないというか、音のかどににじみがあるというか、それはこの点にあったのかと思いました。なぜかストラヴィンスキーの兵士の物語を聴きなおしてみたくなりました。

    1. Roughtonさま、
      コメントありがとうございます!
      準備をしてから、Prepare!! の教えは、本当にありがたいことに、今となっては私の根本のところにあります。
      今、本当にこのことをしっかり感じて欲しい生徒がいるのですが、なかなかぜんぜん入っていかずに、悩んでいます。。。
      上手になってくると本当に「瞬時に」必要な準備ができるようになるのですが、そこまでいくまでの忍耐も必要ですよね。
      Stravinskyのように、ぱきっとした音をだしたいときにはとくに、準備 が大切です。

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