ヴァイオリン楽譜のローマ数字の意味は? I・II・III・IV は弦の指定

私のレッスンで、生徒さんたちにときどき聞いてみることがあります。

楽譜のなかのローマ数字を指差して、「これはどういう意味でしょう?」

もちろん、初心のレベルを抜けて、ある程度のところまで来た生徒さんたちです。

みなさんはこの質問に答えられますか?

ヴァイオリン楽譜のローマ数字は 弦 をあらわします。

ときどき、ポジションと思う人もいるようですが、そうではありません。

(もう少し正確にいうと、ローマ数字をポジションの意味として使ってある教材を海外でみたことはあります。ただ、プロの経験をふまえると、ポジションとしないほうがよいと思います。)

ヴァイオリンの弦とローマ数字の関係は:

I = E線(一番細い弦、いちばん高い音の弦)

II = A線

III = D線

IV = G線 (一番太い弦、一番低い音の弦)

つまり

「III」とあれば D線で弾いてください

「I」とあればE線で弾いてください

という意味になります。

なぜ弦の指定をするの?

ある程度のところまできた方ならおわかりになると思いますが、ヴァイオリンでは、同じ音でも、違う弦で弾くことができます。

違う弦で弾くと、同じ音でも 音色 が変わります。

同じ音をG線で弾けば太く深い音になりますし、E線で弾けば明るい音、開放感のある音になります。

ときには、フレーズ感をなめらかにしたり

ポジションの移動を避ける などの理由で

作曲者や編集者が弦を指定することがあるのです。

フリマリー「ヴァイオリン音階教本」の譜例でみるローマ数字の弦指定

例えば、Hrimaly Scale-Studies (Shirmer) の22ページ 2オクターブの Bflat Major のセクション アルペジオのところには、上記のような表記があります。ここは ファの音からD線で弾き、そのままD線にとどまります。つまりファの音の次 シの音は D弦、第5ポジションで弾く という意味になります。

前出のとおり、上記は Heimaly Scale-Studies (Shirmer) なのですが、私は日本の 全音楽譜出版社 フリマリー ヴァイオリン音階教本 岩船雅一先生編 のものももっています。こちらでは、シの音のしたに III という指定が入っています。そして、同じ小節の 3指指定の部分には、きちんと II の指定もはいっており、私は岩船先生のエディションのほうが親切でわかりやすいと感じます。

またこちらも同じく Hrimaly Scale-Studies (Shirmer) の 19ページ ですが、

上にみられるように、最初の段は G線、2段目はD線、3段目はA線、4段目はE線 で練習します。その上に、1段目にしるしをつけてあるように、ローマ数字のあとに……………という表示があります。これは、そのまま同じ弦で弾いてください という意味ですから、1段目は「すべて」G弦で練習する。2段目は「すべて」A弦で練習する という意味になります。

モンティ『チャルダッシュ』の譜例で見るI~IVの弦指定

さらに、こちらは少々この説明のために私が手をくわえてみたものですが、上記の場合は、前出の Hrimaly と同じように、G線ではじめて、そのまま13小節目まですべてG線で演奏する という表示になります。こうすることで、ハンガリーの民族舞踊からインスピレーションを得ている、チャールダーシュの冒頭、少し深く、哀愁がただようようなキャラクターを求められるため、G弦上ですべてを演奏したほうが、そのキャラクターがだしやすい。

また上記の場合 sul G と書く場合も多々あります。下をみてみてください。

実は、こちらが出版されているそのもの(オリジナル)です。ご覧いただけるとおり、Sul G となっており、その後、----------という表示で、そのままG線上で演奏してください と表示しています。

Sul G と IV その違いは?

IV ----- としても、Sul G -----としても意味は同じですが、私の経験上では、IV という表記は Hrimaly Scale-Studies のような 技術的なものに焦点をあてた場合 や オーケストラ曲で、コンサートマスターがここはG線で弾きましょう と決定したときに(つまり、ある音 や 短めのセクションで)IV と書き込むことが多くありました。

一方、ヴァイオリン曲などの楽譜では 音楽的フレーズ、長いフレーズやセクション で より音色に焦点をあてた場合に Sul G ----- などと示すことの方が多い印象です。

篠崎ヴァイオリン教本 と 新しいヴァイオリン教本 での弦指定表示

日本の 篠崎ヴァイオリン教本 と 新しいヴァイオリン教本 ではどうでしょうか?

例えば、Accolay – Violin Concerto No.1 in a minor (アッコーライ ヴァイオリン協奏曲) をみてみましょう。

篠崎ヴァイオリン教本では 4巻 77ページ 下から2段目 2小節目の シの音には A と表示されています。つまり、このシの音はA弦で弾いてください とあります。

一方、新しいヴァイオリン教本では 4巻 13ページ 下から2段目 2小節目の シの音には II と表示されています。つまり、同上で、このシの音はA弦で弾いてください ということです。

全体的に、篠崎ヴァイオリン教本では この弦で弾いてください と指示する場合には 弦の名前(G,D,A,E)が書かれており、新しいヴァイオリン教本では、ローマ数字(IV, III, II, I)が使われています。

私が長く暮らしたアメリカでも、両方ともよくみられます。

これらは譜読みにはとても重要な情報です

ヴァイオリン演奏の最初のステップである譜読み。これを正しくおこなうためには、これらの情報は非常に大切です。音楽的に演奏するためにも、技術的な進歩をとげるにも、これを知らずに通ってしまうと、時間や労力の無駄になってしまいます。

ぜひこちらの情報を活かして、今後のステップを大切に前進されてくださいね。

私のところではこのようなこともしっかりと学んでいただけます。

どうぞお気軽にお問い合わせください:dearviolinstudents★protonmail.com

無料相談からはじめましょう。

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