ヴァイオリンのレッスンというと、多くの方は「上手になること」や「コンクール」「音大進学」といった目標を思い浮かべるかもしれません。

しかし、25年以上にわたりアメリカと日本で指導してきた中で、私はヴァイオリンの価値をまったく別のところに感じるようになりました。

ヴァイオリンは、単に上達するための習い事ではありません。

人生に長く寄り添う「一生の友」になり得る存在です。むしろ、ある程度しっかりと音楽を学んだ経験は、その後の人生を豊かにしていきます。


ヴァイオリンは「習い事」以上の価値がある

ヴァイオリンのレッスンというと、多くの方は「上手になること」や「コンクール」「音大進学」といった目標を思い浮かべるかもしれません。

しかし、25年以上にわたりアメリカと日本で指導してきた中で、私はヴァイオリンの価値をまったく別のところに感じるようになりました。

ヴァイオリンは、単に上達するための習い事ではありません。

人生に長く寄り添う「一生の友」になり得る存在です。むしろ、ある程度しっかりと音楽を学んだ経験は、その後の人生を豊かにしていきます。

音楽教育は、日本ではプロを目指すためのものと思われることが多いかもしれません。

しかし実際には、プロになる人はごく一部にすぎません。

多くの人はそれぞれの人生を歩みながら、音楽とは別の道に進みます。

それでも音楽の価値が失われることはありません。

むしろ、しっかり学んだ音楽経験は人生を豊かにします。


ヴァイオリンを深く学ぶことで広がる世界

子どもの頃や学生時代にヴァイオリンをしっかり学んだ人は、単に「曲が弾ける」だけではありません。

音楽の構造や表現、そして技術の背景にある考え方を理解できるようになります。

その結果、大人になってから音楽を楽しむときの深さがまったく違ってくるのです。

ただ聴くだけではなく、音楽に「参加する」ことができるようになります。

室内楽やアンサンブルに加わり、他の人と一緒に音楽を作ることができるようになるのです。


音楽は人生に残り続ける

例えば、私の知人にプリンストン大学を卒業した方がいます。

彼は現在、音楽とは異なる分野で働いていますが、今も音楽を続けています。

週末には教会で演奏したり、友人と弦楽四重奏を楽しんだりしています。

ときには演奏から報酬を得たりもしています。

音楽は職業ではありませんが、人生の中で自然に続いているのです。


室内楽が教えてくれる本当の音楽力

弦楽四重奏のような室内楽は、非常に深い音楽体験です。

しかしそれは簡単には成立しません。

自分のパートを弾くだけではなく、他の人の音を聴き、呼吸を合わせ、全体を理解する必要もあります。

ここでの音楽は「一人で弾くもの」ではなく、「対話」なのです。

とくにヴァイオリンは、他の楽器と合わせる機会を得やすい、アンサンブルに非常に適した楽器です。


日本の強み|アマチュアオーケストラ文化

日本には、豊かなアマチュアオーケストラ文化があります。

東京や大阪をはじめ、多くの地域に社会人オーケストラや室内楽団が存在しています。

これは世界的に見ても恵まれた環境であり、大人になっても問題なく音楽を続けることができます。

ヴァイオリンで育つ力

ヴァイオリンの学びは、技術だけではありません。ヴァイオリンのレッスンは、単に演奏技術を学ぶ時間ではありません。

その過程で、次のような力が自然と育っていきます。

  • 目標に向かって継続する力
  • できない原因を見つける力
  • 問題を解決する思考力
  • 本番に向けて計画を立てる力
  • 自分で練習を組み立てる自律性
  • 細かい部分に注意を向ける集中力

「できない」を「できる」に変えていく過程そのものが、音楽の学びです。

そしてそれは、人生そのものにもつながる経験になります。


それぞれのペースで進む音楽の旅

上達のスピードは人それぞれです。
早く進む人もいれば、ゆっくり進む人もいます。

大切なのは、他の誰かとの比較ではなく、その人自身の成長です。
私はそのプロセスに寄り添いながら、一人ひとりを大切に指導しています。


ある生徒との出会いが印象に残っています。

彼女(英語話者)は小学4年生のころにヴァイオリンを始めました。
決して「すぐに上達するタイプ」とは言えない子でしたが、とても豊かな個性を持っていました。

時間をかけながら一緒に歩んでいく中で、彼女は少しずつ力をつけ、最終的にはアッコーライの協奏曲をしっかりと とてもすばらしく演奏できるまでに成長しました。

高校生(日本の中学3年生)になるので履修スケジュールが難しく、学校のオーケストラには参加しないという選択をしたため、レッスンはそこで一区切りとなりましたが、私はその成長を心から嬉しく思っています。


音楽はいつでも戻れる場所、そしていつでもはじめられる場所

たとえ一時的にヴァイオリンから離れたとしても、ヴァイオリンとの関係がなくなってしまうわけではありません。

多くの人が、何年も経ってから音楽に戻ってきています。

私のもとにも、子どもの頃にレッスンを受けていた方が、大人になって「もう一度きちんと学び直したい」と通われているケースがあります。

子どもの頃には気づけなかったことに出会いながら、今、仕事の合間をぬって、とても楽しそうに上達の道を歩まれています。

そのとき音楽は、安心感や喜び、そして自分自身との再会をもたらしてくれます。


そして音楽は、「いつからでも始められるもの」でもあります。

私は40代からヴァイオリンを始められた方のレッスンもしています。
弾きたい曲を少しずつ形にしていく喜びを共有しながら、簡単な二重奏を一緒に演奏し、アンサンブルの楽しさへとつなげていきます。

また最近では、「アメリカから数か月日本に滞在する予定ですが、その間にヴァイオリンを始めることはできますか」といったお問い合わせもいただきました。

音楽は、人生のどのタイミングからでも始めることができるものだと、あらためて感じています。


音楽は、言葉を超えて人とつながる手段でもあり、共通の言語として人と人を結びつけてくれます。
新しい土地や環境に移っても、音楽を通して人と関わることができます。


おわりに|ヴァイオリンは人生とともに育つ

ヴァイオリンは、子どもの頃だけの習い事ではありません。

プロになる人のためだけのものでもありません。

人生とともに育ち続けるものです。

私は、生徒が単に「上手に弾けるようになること」だけを目指しているのではありません。

音楽を通して、自分自身を深め、人とつながり、人生の中で音楽を持ち続けられるようになることを願っています。

ヴァイオリンは、単なる楽器ではありません。

それは、一生の友になり得る存在です。

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