レッスンの始まりと生徒の様子
オンラインで英語によるヴァイオリンレッスンを行っている中で、印象的な出来事がありました。
レッスンの冒頭、「練習はどうでしたか?」と尋ねると、生徒はとても明るく “Really Good!” と答えました。 その声はいつも以上に自信に満ちていて、こちらも自然と期待が高まるほどでした。
基礎練習もスムーズに進み、いよいよ課題曲へ。 この時点では、特に違和感はありませんでした。
演奏の中で感じた違和感と観察
課題曲を弾き始めると、”Really Good!” と言ってくれた割には、なんとなくぎこちない。
もちろん、課題はまだ新しいのですが。
さらに演奏を続けてもらうと、途中から楽譜が指定していない指使いが現れ始めました。
なぜそうなるのかも、実は私にはみえていたのですが、すぐには止めませんでした。
理由はひとつ。 生徒がどのように理解し、どのように進めようとしているのかを観察したかったからです。
私は、間違いを見つけた瞬間に止めるより、 「なぜそうなったのか」を見極めることを大切にしています。
ピアノ伴奏譜で弾いていた理由と生徒の認知

演奏を止めて、「どのポジションで弾くように書かれていますか?」と尋ねると、彼はすぐには答えられませんでした。
理由をたどると
彼はヴァイオリン譜ではなく、
ピアノ伴奏譜を見て弾いていた
からなのです。
彼は自然に、まったく悪びれず、こう言いました。
「ピアノ譜にもヴァイオリンのメロディが書いてあるよ!」
この言葉に、私は強い興味を覚えました。
彼は楽譜を、 「ピアノ用」「ヴァイオリン用」という区別ではなく、 “音楽情報としてのまとまり” として捉えられているのかもしれません。(彼はピアノのレッスンも受けています。)
これは未熟さではなく、 音楽を直接的に理解しようとする初期段階の姿 とも言えます。
ヴァイオリン譜を取りに行くのが面倒くさい というだけだった可能性もあります(笑)。
ヴァイオリン教材の意図と指導判断(ポジション学習の重要性)
今回使用している教材は、単に曲を弾くことが目的ではありません。
- ファーストポジション
- セカンド
- サード
- フォース
- フィフス
といったポジション移動を、曲のなかでうまく使えるようにすることが大きな狙いです。
また、この曲には大きなコードもはいっています。
そのため、 弾けるからといって、ファーストポジションで弾き続けてしまうと、教材の意図から外れてしまうわけです。
私はヴァイオリン譜を取りに行ってもらい、その点を丁寧に説明し、 「なぜこのポジションなのか」 「なぜこの指使いなのか」 を理解してもらい、まだ譜読みの段階なので、ヴァイオリン譜を使いましょう、と促しました。
彼はその説明をポジティブに受け止め、とても素直に すぐに切り替えて取り組んでくれました。
生徒の姿勢から感じたこと
今回の出来事を通して、私は改めて感じたことがあります。
私は、ただ“良い子”として振る舞うだけの生徒よりも、 自分の考えで動き、時に予想外の行動を見せてくれたり、 私との対話を楽しんでくれる生徒が大好きです。
こうした生徒は、 レッスンに新しい視点や学びをもたらしてくれます。
「なぜそうしたのか?」 「どう理解していたのか?」 という対話が生まれることで、 生徒の認知の仕組みが見え、指導の質も深まります。
今回の出来事から得た気づき
この出来事は、単なる“ミス”ではありませんでした。
- 生徒の楽譜理解の段階
- 指導者としての観察の重要性
- 教材の意図と生徒の行動のズレをどう扱うか
- 対話を通じて理解を深めるプロセス
- 生徒のポジティブさと柔軟性
これらすべてが、今回のレッスンの中にありました。
音楽教育は、 正しい演奏を教えるだけではなく、 生徒の理解の仕方そのものを見つめる営み だと改めて感じました。
未来への期待
いつか彼が、「伴奏の流れも意識したくて、ピアノ伴奏譜で練習したんだ」と言ってくれる日が来たら、私はきっと嬉しさのあまり卒倒してしまうかもしれません。(笑)
その未来を楽しみにしながら、今は一つひとつ、楽譜の読み方や指使いの意味を一緒に積み重ねています。
江東区東陽町|大人のためのヴァイオリンレッスン(初心者・ブランク歓迎)